Setca.です。BOF:ETとチュウニズム公募の制作が一段落したので、思考の整理も兼ねて少し作詞のことを書いてみます。
作詞を始めてからそれなりに経ちましたが、まだ自分の中でやり方が固まってないので、今はこんな感じでやってるよ~ってのがメインになるかと思います。
他の人のやり方をお聞きするとと全く違うアプローチをしていらっしゃる方もいますし、僕も半年後とかにまたやり方変わってるかもしれませんが、その時に参考にできたら良いかな〜といった感じです。
はじめに
身も蓋もないんですが、そもそもの考え方としてあまり「良い歌詞」を目指しすぎない方が良いんじゃないかなと思っています。僕個人の意見ですが、あくまで歌詞に求められるのは「曲の良さを殺さないこと」だと考えていて、まず目指すべきは「減点されない歌詞」なのではないかと思います。言ってしまえば「悪くない歌詞」の延長線上に「良い歌詞」があるのかな、なんて考えてます。
それを踏まえた上で、歌詞について僕が現在目指している方向性を確認しておきます。
僕が現在意識しているのは以下の3点。
・少ない言葉、あるいは簡単な表現で状況が見える
・多面的に心情を捉えている
・印象に残るフレーズがある
言うは易し…といった感じですが中々難しいです。
一応、これを理想としながら普段作詞をしているとだけ押さえていただければと思います。
普段の作詞の流れ
1.世界観決め
2.実際に歌詞を作る
3.違和感のある場所を修正する
4.歌ってみて確認
以下3, 4をループ(場合によっては1からやり直し)
といった感じです。3, 4については言わずもがなだと思うので、1, 2について書いていきます。ちなみに僕は歌詞とメロだと歌詞先に書くことが多いです。
世界観決め
まず方針を決めていきます。
曲によって変わりますが、僕が考えてるのは大体こんな感じです。
・テーマ/モチーフ
・登場人物
・時間
・場所
・どういう状況なのか
テーマ/モチーフ
歌詞を作る上で軸にする部分をざっくりと決めてます。
ここに関しては結構アバウトですね。
例えば死とか、友情とか、あるいは環境問題とか。
歌詞の方向性がぶれなければ何でもいいと思います。
一例として、BOF:ETで公開した『糸引く夏のエデンにて。』では「世界の境界」をテーマにしてみました。
この曲だと1サビでは「(気になって)撫でる」という境界を確かめるような表現、ラスサビでは「(抉れるくらい)抱きしめる」という境界を破壊するような表現を用いて対比させる、とかやってみました。成功したかはわかんないですけど。
あとは直近のチュウニズム公募で公開した『うたかたのせかいで』では既にキャラクターの背景が明確になっており、かつ既存のテーマ曲である『宿星審判』が比較的神性(この表現が適切か少し微妙ですが)にフォーカスしているように感じたので、キャラクターストーリーをもとにできる限り彼女の心情、及び個人としての魅力を表現する、ということを一応のテーマとして設定していました。そのため、心情を表すような表現を意識的に入れています。
登場人物
まずテーマの掘り下げと合わせて、何人(もしくは何グループ)登場させるかを考えます。
多すぎても動かしにくいですし、大体1人~4人ぐらいでしょうか。
例えば「恋」というテーマで考えると、相思相愛とか三角関係とかありますよね。場合によっては自分自身の心の叫びだったりすることもあるのでしょうか。
あとは「旅」というテーマだと、1人で旅するのと4人で旅するのでは全く違う情景が浮かんできます。
後々増減するかもしれませんが、この段階で方向性と合わせて人数を決め、各人のキャラ設定を考えていきます。
時間
まず季節、そこから月、時間帯と絞っていく感じです。場合によっては季節の前に時代が入る時があります。
例えば、
「夏の曲にしよう→夏の中でも初夏にするか、じゃあ5月下旬の梅雨前の時期あたりが良いかもな→この時期は過ごしやすいし朝方の爽やかな感じを演出したいな」
みたいな。5月が夏かは置いといて。
場所
時間と共に考えていきます。近くの公園なのか、誰もいない地元の穴場の海岸なのか、旅行で行った都市なのか、というのを決めていきます。
どういう状況なのか
例えば恋愛だと片想いなのか両想いなのか、既に失恋してしまったのか、あるいは別れそうなのか等、色々な状況が想像できます。
そういった情景をあらかじめ深堀りしておくと歌詞を書きやすいと思います。
実際に歌詞を作る
あらかじめ決めておいた世界観に合わせていったん歌詞を作ってみます。自分の場合はサビから書くことが多いですね。
最初の方で減点されない歌詞を目指すべきとは書きましたが、なんだかんだでこだわりもまた大事かな〜と思います。やっぱりピンときた表現は活かしてあげたいじゃないですか。
歌詞の書き方としては、個人的には副詞の使い方に気を配ると良いと思っています。
例えば「少し大きい」と「すごく大きい」だと全く違う印象を受けますし、「少し小さい」と「ちょっと小さい」でも違った印象を受けませんか?
こういった微差を詰められたかどうかが「良い歌詞」と「ずっと心に残るヤバい歌詞」を分けるのだと思っています。簡単に出来たら苦労しないけどね。
その他
確認の際にはもっと簡単な言葉に言い換えられないか?というのはよく見ています。これは単純に僕が聴覚情報を処理するのがあまり得意じゃなくて(なんで曲作ってるんだよ)難しい表現を聞いた際にパッと理解できないから、という側面が大きいです。この辺りは人によると思うんで、こういう人もいるんだ〜って軽く聞き流しといてください。
ちなみに自分が歌詞の確認をする際には、適当にメロディー載っけて口ずさんでみた時、曲を通してちゃんと脳裏に映像が浮かぶ、ぐらいを1つの基準にしています。
もちろんどんな歌詞であっても万人に刺さるってことはないのでしょうが、自分の中でこのラインを突破できていれば最低限の体裁は保てていると思っています…というか思いたいです。
僕自身作詞の技術を磨いて勝負できているわけではないので、もっと表現技法を上手く盛り込んでいけたりするとより良いものが出来上がっていくのかな~とは思いつつ、こういった技法を身に着けていくのって一朝一夕では難しいのでおざなりになりながらだましだましやってる感はありますね。多分自分でボーカルやってみたりすると良いんでしょうけどね。そうなると歌練習しないと。